図書案内

シリーズ名 K+K PRESS(ケイ・プラス・ケイ・プレス)
タイトル 確率の悪魔(かくりつのあくま)
サブタイトル 科学理論と現実のはざま(かがくりろんとげんじつのはざま)
著 者 本田 成親(ほんだ・しげちか)

ジャンル:数学(確率理論)・自然科学・
      社会科学
ISBN 4-7692-0449-3
定価:本体2,300円+税
判型:四六判ハードカバー
ページ数:248ページ
発行年月日:2003年5月15日

対象:一般



日本図書館協会選定図書



遺伝子組み換え実験が惨禍をもたらす「確率」は?
五人続けて女児出産。
六人目もやっぱり女の子、
それとも今度は男の子?
“予測”へのあくなき欲求が生み出した
近代「意識的確率概念」の落とし穴

■内容紹介
 明日は必ずやって来る――人間は固くそう信じて疑わない。だからこそ、暦をつくって未来に備えて種をまく。古くから連綿と繰り返されてきた「無意識的確率行動」である。
 一方で、予測へのやみがたい欲求は近代に入って「意識的確率概念」を生み出した。いまや科学の世界の法則は、数学という非日常的な言語をまとった確率概念があればこそ未来に対して意味をもつ。
 だが、日常言語との乖離の結果、「確率論神話」の台頭も避けがたいことだった。人間の認識能力の限界や悪夢のようなトートロジー(同語反復)……「確率」の意味をいま問い直す。
■著者紹介
 1942年、横浜に生まれ鹿児島で育つ。東京大学大学院博士課程修了。位相幾何学、基礎論専攻。東大教官を経てフリーランスとなり、数理哲学や科学理論関係の著述に携わるかたわら東京芸術大学大学院美術教育研究科客員講師を務める。1997年、「佐分利谷の奇遇」で第2回奥の細道文学賞受賞後、文芸作家活動に入る。近著には、『星闇の旅路』(自由国民社)、『宇宙の不思議がわかる本』(三笠書房)、『図説 創造の魔術師たち』(訳、工学図書)など。

■目次
第一章 数概念の奥に潜む根本問題について
 科学理論の記述になぜ数式は不可欠なのか
 人類は「0」や「1」を生み出すまでに苦労した!
 「0」の視点から西暦年号問題を考える 
 流体の世界なら「1」という概念は生まれなかった!
 「類」の概念あってこその1+1=2 
 自然数の厳密な定義はなかなか難しい 
 〈1=0.99999……であることを証明せよ〉という問題の舞台裏

第二章 無意識的な確率概念と意識的な確率概念
 科学の世界の数式や記号は「ことば」である
 科学表現理解の糸口としての確率概念 
 確率概念の固有性 
 確率行動について
 意識的確率概念の芽生え 
 確率概念の数式化とその問題点 
 ガウスの確率論について 
 確率概念は両刃の剣 
 決定論と非決定論 
 不確定性原理と生物学
 両論のはざまに我々は生きる
 明証性の限界と矛盾環 
 無意識的確率行動と意識的確率行動 

第三章 意識的確率概念の意義と限界
 「証明」の限界について 
 長さや距離に「絶対」はあるか 
 サイコロの神話 
 大数の法則の根底にもトートロジーが 
 人間の認識能力の問題も 
 表現としての確率 
 意識的確率概念の誕生 
 意識的確率概念の意義 
 意識的確率概念のもう一つの意義 
 社会科学分野における意識的確率概念の功罪 
 いま一度確率の根元問題に立ち戻る 
 予想が当たるということのパラドックス 
 独立試行の定理と独立という概念について 
 砂糖菓子実験の意外な結果 
 事象の様態を抽象することの難しさ 
 標準値信仰はほどほどに 
 基準軸と指標目盛り設定の適否について 
 理論を盲信せず、常に現実に立ち戻って 
 分析的方法には必然的に限界が 
 根元的問題は人間のもつ認識様態 

第四章 科学理論の本質と意識的確率概念のもつ課題
 確率概念や偶然性についての決定論的見解 
 確率概念や偶然性についての非決定論的見解 
 非決定論を裏付ける量子論と分子遺伝学 
 必然性と偶然性の相補性について 
 決定論と非決定論もまた相補的である 
 意識的確率概念の本質 
 過去の世界への確率概念の適用について 
 認識する主体による選択と知的観念の冒険 
 遺伝子操作の安全性に関する確率議論の奇妙さ 
 制御による法則への強制適合は危険 
 確率予測がはずれることの意味と認識の優位性 
 認識こそは時空の旅路の道しるべ 

 あとがき 
 索引 

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